家族の一員であるワンちゃん、ネコちゃんを病気から守る方法として、当院が考える3つのポイントは、
1)予防、2)定期的な検診、3)食餌管理です。
Point 1)予防
A.予防接種
人と同様に、予防接種(ワクチン接種)をワンちゃんやネコちゃんに実施することで、多くの病気から守ってあげることができます。
①狂犬病:
狂犬病ウイルスを保有する動物に咬まれたりすることで感染する、致死率ほぼ100%の感染症です。現在日本では狂犬病予防法により、ワンちゃんへの接種が義務となっています。
②混合ワクチン:
複数の感染症を予防するための予防接種です。
当院では、ワンちゃん用として5,6あるいは8種混合を準備しており、生活環境、生活習慣、ワンちゃんの特徴などを考慮し飼い主様と相談の上、接種すべきワクチンを選択しております。また、ネコちゃん用には3種混合を準備しております。猫白血病に対する予防接種はご相談ください。
B.犬フィラリア症
フィラリアの仔虫を宿した蚊に吸血されることで感染する寄生虫性疾患です。感染したフィラリアは成長しながら体内を移動し心臓や肺動脈で成虫となり、血流を障害することで様々な臓器に悪影響を及ぼします。蚊の発生するシーズン(札幌では例年6~11月)に月1回、お薬を投与することで予防できる病気です。また、犬フィラリア症という病名ですが、近年ネコちゃんでの発生が報告されておりますので、ネコちゃんの飼い主様からのご相談も受け付けております。
C.ダニ&ノミ
動物に寄生するダニは、暖かくなり草木が伸び盛る時期になると草の先などに潜み動物が通りかかるのを待ち構えています。ダニは寄生すると強力な口器とセメント状物質で強力に皮膚に食い込み吸血し、吸血が終わると自然に落下します。ダニが寄生すると動物は不快感を生じ、大量に寄生された場合には貧血に陥ります。また、様々な病原体を保有しているため、無理につぶしたり吸血されたまま放置すると命に係るような感染症を引き起こす可能性があります。
一方、ノミはサナギの状態で環境中に潜み、動物が近づくと羽化し寄生するあるいは、他の動物に寄生していたものが飛び移り寄生します。ノミに寄生されると強烈な痒みが生じるノミアレルギー性皮膚炎などが生じます。これまで、札幌での発生は稀でしたが、近年の温暖化に伴いノミ被害の報告が出始めています。
ダニ、ノミはどちらも寄生されないこと、あるいは短期間のうちに駆除してしまうことで、重大な疾患を防ぐことが可能と考えられます。そのため、しっかりとした予防が必要と考えられます。
当院では皮膚につけるタイプを用いておりますが、飲み薬をご希望される飼い主様はご相談ください。
Point 2)定期的な検診
大まかにワンちゃん、ネコちゃんは1歳以降は、1年間で人の4年分歳をとると言われています。また、多少の不調は隠すことが多く、気づいたときには重篤な状態に陥ってることがあります。定期的な検診は、この隠れた異常を(早期に)発見できる可能性があり、正常であった場合もデータを蓄積することで、その仔の正常値を知ることが可能となります。
Point 3)食餌管理
不適切な食餌や間食は、病気の原因となります。例えば、ネコではタウリンが不足すると拡張型心筋症という心臓の病気になることがわかっています。その他、適切な食事管理を行うことで、おしっこの問題や肥満といった様々な病気を予防できると考えられています。一方、病気の中には食餌療法が必要となるものもあり、病院で処方された処方食を続けないと健康状態を維持できないこともあります。